Go to 業

 この3ヶ月弱の間、自分がどうやって仕事をして、どうやって仕事以外の時間を過ごしたのか、よく思い出せない。東京と大阪でトークショーを開いたことは心から「よかった」と思える出来事ではあるけれど、自分の中に残っていた力をかき集め、無理やりに火をつけて、その火を燃料にして、テンションをあげて臨んだものだから、余計な力も入っていたことだろう。もしかしたら、いらしてくださった方々にちゃんとした内容のことをちゃんとしたクオリティで話せてはいなかったもしれない。情けないことに、そのことを自分でフラットに評価することさえできないのだ。

 12月に入ってから届いた友人知人の誘いは、時間さえ合えばすべて顔を出した。サガンの『悲しみよこんにちは』ではないけれど、騒がしさの中に身を置いたほうが自分の気持ちを平静に保てることもある、と知ったのはまさにこの期間だった。そのおかげで、徐々に日々に落ち着きが戻ってきたような気がする。もういなくなってしまったあの人をふとしたときに思い出しても、それに伴うのは吐くような胸のつかえや抉られるような痛みではなく、甘い痛みややるせない息苦しさといえる程度の感覚になってきた。それは間違いなく、つかず離れずであたしのことを見てくれていた友人知人の心遣いによるものだ。

 年が明けた。今年はどんな年になるのだろう。ただひとつわかっているのは、あたしはやっぱり、生き抜くことしかできない人間だということ。そう簡単にはくたばらない。くたばれない。そんなに業の浅い人間であってたまるか。まだあたしには、やりたいことがたくさんある。楽しいことをたくさん味わって、そのすべてを、いつか伝えなければいけないのだから。

 08年、みなさんにとって充実した年でありますよう。お互い、生き抜いて、楽しいことをたくさん発見していきましょう。