鍵(not潤一郎)

 先週末、ラブピースクラブさんにお邪魔して、『愛は毒か 毒が愛か』にサインをし、メッセージカードを書いてきた。本当なら先週の中頃にはラブピースクラブさんで発売されるはずだったけれど、あたしの都合で延期していただいていたのだ。個人的な都合で先延ばしにしていたことを、何も言わずに受け入れてくださったことに感謝しつつ、ペンを走らせる。
(サイン本をご希望の方は、ラブピースクラブのHPの「SHOP」をクリックし、出てきたページの「ブックス」をクリック、さらに「エッセー」のコーナーにお進みください)

 この2週間を、現時点でできる限り冷静に振り返ってみると、あたしは、さまざまな人たちの気遣いに甘えてきたなあ、と、つくづく感じる。こういうふうに感じられるようになれば、もうすぐ扉が開くことを、あたしはもう知っている。

 同じく先週末、ご遺族の方にお目にかかって、2時間ほど、亡くなった人のことを話し合い、思い出を分かち合った。葬儀のときにはあまり言葉を交わせなかった分、お互いに堰をきったように話を続けた。お宅を失礼するとき、「残されたあの方々に、これからもあたしなりに接していきたい」と思いながらタクシーの中からお辞儀をしたが、その瞬間、扉にかかる鍵がゆるんだのをはっきり感じた。もうすぐだ。