ペネロペ・クルスとボーヤン・ジン、そしてペドロ・アルモドバル

フィギュアスケート欧州選手権や全米選手権を楽しみつつ、久しぶりにGYAOをチェックしてみたら、ペドロ・アルモドバル監督の『ボルベール』が無料公開されているのを知りました。

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ペドロ・アルモドバルは、現役の映画監督の中でもっとも好きな人のひとり。同時にこの映画はペネロペ・クルスの最高傑作だと個人的に思っています。

優しさ、強さ、逞しさ、大胆さ、したたかさと少しの図々しさ。八方ふさがりかと思ってしまうような状況にあっても、「困ったときはお互い様じゃない」と、どこかあっけらかんと周りの女性たちと助け合いつつ、人生をわたっていく明るさが、アルモドバル作品の持ち味である美しい色彩の中で跳ねまくります。

そして、そんな極彩色の「陽」の中にある哀しみ。娘を愛する母であり、同時に、母の愛を求める娘でもあるライムンダ(ペネロペ)の姿に涙…。

パワーと繊細さの両方を一緒に出せる役者でなければ出来ない演技を惜しみなく披露しているペネロペに、いまだにハリウッドは「主役の男性キャラの横で華を添える」みたいな美人役ばかり振るのがもどかしくて仕方なかったりもします。まだ『ボルベール』は見たことがない、という方は、お金もかからない今のうちにご覧になってみてはいかがでしょう。

 

そういえば、ボーヤン・ジンの今季のフリーはアルモドバル監督の『トーク・トゥ・ハー』の曲を使っていますね。2月に出す本の中でも触れていますが、『トーク・トゥ・ハー』は、ものすごく重くてどんよりするテーマを扱った映画。ボーヤンがこの映画から曲を使うことを知ったときは本当に驚きました。ただ、スケーターのこうしたチャレンジを見ることができるのは、スケートファンとして大きな喜びでもあります。ボーヤンも世界選手権で会心の演技ができますことを!

 

金曜日にお昼寝をしてしまったせいか、ものすごく早起きしてしまいました。推定6人の読者の皆様の週末が充実したものでありますように。