パブリックビューイング考

 サッカー、盛り上がってますね!(一般受け用あいさつフレーズ。ケッ)

 あたくしはこの時期、いつもいつも話題についていけず、同じように置いてけぼりになったオカマ友達と、ある対抗策に打って出ます。
それはパブリックビューイング

 とは申せ、別に都内のあちこちの巨大モニターに映し出されるサッカーの試合と、それに熱中する人々に危害を加えるわけではありません。そうではなく、新宿二丁目のお店に友人たちと集合し、フィギュアスケートの名演技をパブリックビューイングするのです。

 現在、テニスやバレーボールよりも、二丁目のゲイバーでのパブリックビューイング率が高いスポーツはフィギュアスケートです。今年のソチ五輪、および世界選手権のパブリックビューイング率は、異様なほどの高さを誇ったとあたくしは記憶しています。

 で、昨夜、あたくしたちは二丁目のある店にしけこみ、ジョニー・ウィアーの華やナンシー・ケリガンの鼻を鑑賞し、荒川静香の軽やかなのに重厚な滑りと村主章枝の軽やかな目鼻立ちなのに重厚な表情に圧倒され、自らの演技後、裏に引っこまずに、次の選手(金メダルを争うライバル選手)のすぐ後ろに立ち、背すじが凍りそうなほどの視線を飛ばして集中力を乱そうとするカタリナ・ヴィットの胆力に驚嘆し……。

 これではまるであたくしたちが演技のことを見ていないかのようですが、あたくしたちは演技も、それに付随する「何か」も愛してやまないだけなのです。で、「何か」を鑑賞しようと思ったら、確かに、ひとりで見るより複数で見たほうが楽しい。パブリックビューイングには、こういった効能もあるのでしょう。

 さて、今回のラブピースクラブのエッセイは、サッカーにかこつけて、サッカーにはまったく関係のないことを書いてみました。よろしかったらご一読くださいませ。