さよならのキスは甘い

 1年以上、間が空いてしまいました。ごめんなさいね。

 あたくしは入退院をちょいちょい繰り返しつつ、連載分だけはなるべく書こうと努めていた感じです。
 まあ、入退院がどうこう言っても、元気は元気だし、現時点でも医者から止められていることはない、ゆるーい闘病生活だったりするし、今年中にはそれなりにいい方向での展望も見えてくるはずなので、自分でも期待しているわ。

 ま、来年1月には新しい本も出る予定だし、それに向けて相当頑張らないといけないのだけれどね。ええ、体調を言い訳にしてはいけないのだけれど、あたくしがやらなきゃいけない分が、大いに遅れてしまっていますのよ…。

 明日、一時退院するのですが、先ほども言った通り「医者に止められていることはない」状態なので、友人がさっそくお祝いを持ってきてくれたの。イデミ・スギノの生菓子8個。ええ、そりゃ確かに「医者に止められていることはない」んだけど、ものには限度ってものがあるでしょうよ…。「ノンケがひとりでイデミ・スギノへ。はじめてお使い」ってのは評価するにしても、大ざっぱにも程があります。

 あたくし、過去の超健康な状態でも、8個ものイデミ・スギノを1度に食した経験はございません。なので、ナースステーションに持って行ってみたけれど、いま、看護師さんって、患者やその家族からその種のものを受け取らないのが徹底しているのね。もしかしたら地方の病院や小さな病院ではお菓子くらいなら受け取ってくれるのかもしれないけれど、何しろあたくしが入院しているのは都内でも有数の大病院、「お気持ちだけで充分です」と、にこやかに、しかししっかりとお断りされてしまったわ。同室の患者さんのご家族に引き取っていただこうかとも思ったのですが、その友人が見舞いに来たのは面会時間の終了直前。あっという間に消灯時間、誰も来やしない…。

 なので、お酒を使っていないもの、あるいは非常にお酒が弱いものを2個だけいただき、あとの6個に関しては、それぞれにキスをして、それを「いただいた」代わりにして、泣く泣くさよならをしました。人生において、キスだけでオトコを捨てるのならともかく、イデミ・スギノのケーキとキスだけでお別れすることになるなんて…。人生で最大の罰当たりを経験してしまいましたわ…。