体力増進計画は順調(告知を少々)

 4月に肝臓がんを切除するための開腹手術を受けて半年ほど。自分で想像していた以上に数値が上向き、それがいい感じで続いています。

 なんだかんだで肝臓がんとの付き合いも3年半。最初に告知されたときに「多発性の可能性がある」とちゃんと説明を受けていたので、いたちごっこは想定済みだし、「数値が安定している状態から、いきなり『えっ?』という急成長を遂げることもある」というのもこの3年で分かったので、精神的にも落ち着いています。仕事のことも含め、来年のことを現実的に、前向きに考えられるのって、本当に素敵。これが何年も続いてくれたらもっと素敵ですが、ま、足元の1歩1歩を楽しく進めていくことを重視しましょう。そうすることで、ここまで順調にきてるんだし。

 体力増進のためのウォーキングにとっても、いい時期でうれしいですね。20分くらい歩いても疲れないようになったし、すでに何度かお気に入りのレストランで(昔ほどの量ではないにせよ)食事を楽しんでいるし、体調を心配してくれる友人たちと楽しいおしゃべりの時間を持てるようにもなりました。彼ら、彼女たちのホッとした顔に、私もエネルギーをもらっています。素敵な循環よね。
 そうそう、スタンディングのイベントは申し訳ないと思いつつもお断りしていますが、「客席に座って観る」系のイベントには行きました。思ったよりも体に負担を感じなかったので、それも本当にうれしかった…。

 さて、10月の31日に、集英社スポルティーバから「Sportiva 羽生結弦 新世界を拓く」というムックが出ます。その巻末のエッセイを担当させていただくことになりました。

 私は「観戦するスポーツ」としてはフィギュアスケートが大好きです(自分でもするスポーツだとテニス。いつかテニスも再開させたいと野望を抱き中)。
「スポーツを観戦する喜び」は、そのスポーツに打ち込んでくれる選手たちがいるからこそ、成り立つもの。選手たちがいるからこそ、観客である私はこの喜びを受け取れる…、私はそう思っています。そんな思いをベースに、羽生結弦をはじめすべてのスケーターへの敬意を込めたつもりです。ご一読くださいましたら望外の喜びです。

 朝晩は少々冷え込むようになってきました。皆様どうぞくれぐれもご自愛くださいませね。

さざなみのよる

 木皿泉の『さざなみのよる』を再読中。初めて木皿作品にふれたのは『すいか』というドラマ。昔出した自分の本『愛は毒か 毒が愛か』にも、たぶんその感動を書き記したはず。
『さざなみのよる』は、NHKスペシャルドラマ『富士ファミリー』の続編的な位置づけと考えたらいいかしら。40代で亡くなったナスミと、その周りの人々が、さまざまな「モノ」で「想い」をつなげていく作品ね。自分が病を得てみると余計に沁みますわ…。

 病気持ちの身であることからいったん離れ、単純なる一読者として味わっても、さまざまな「モノ」のどれもが内側から輝いていく構成にうなるばかり。「ディテールに神が宿る」という言葉の、もっとも美しい具体例を見せていただいている思いです。未読の方は、これから始まる読書の秋に、ぜひ。

Sisters Are Doin’ It For Themselves

 好きな歌手が亡くなると、二丁目の店に行き、その歌手の持ち歌を歌って私なりの追悼をするのがここ10年くらいの習慣でした。でも、アレサ・フランクリンが亡くなったことを知ったとき、外出する気にはなれませんでした。

 病気になるはるか前からお酒は飲んでいないとはいえ、まだまだ夜遅くまで外出するのは体力的に難しい。それも大きな理由のひとつですが、「アレサの歌を歌えるはずがない」というのがもっと大きな理由かもしれません。私にとっては特別すぎるほど特別な歌手でした。

 歌う代わりに、ラブピースクラブのエッセイでアレサを偲びました。よかったらご一読ください。

美味しいものは残さずに

 4月の手術後、きちんとした外食に初トライ。最後まで美味しくいただけたのが嬉しい。池尻大橋にある『La Bitta』というイタリアンのジェノベーゼは、私が日本でいちばん好きなジェノベーゼ。香りが立ち上がるスピードも、その香気や旨みが口の中で広がっていく厚みやスピードも、ほかのお店とは格が違うという感じ…。

 美味しいものを美味しくいただける幸せを噛みしめ、美味しいものをご一緒できる友人たちに恵まれているのを噛みしめ、たぶんこれでますます元気になっていくはず…!

デニス、デニス

 信じられない。受け入れられない。だからまだ偲べない。まだ冥福を祈れない。冥福を祈れないことは、彼の眠りを妨げるということでもあるとわかっているのに、それができない。
 混乱しすぎた頭のまま、朝になってしまいました。言いたいことは山のようにあるのに、うまく言葉になりません。
 デニス・テンは、本当に素晴らしいスケーターでした……。

リハビリがてらキータッチ

 リハビリがてらパソコンでキータッチ。で、短い告知を。
 本日発売の集英社Sportiva』のフィギュアスケート本『羽生結弦 王者の凱旋』にエッセイを寄稿させていただいています。入院前に書いたものなので、体力的な問題がないタイミングで執筆させていただけたこともありがたかったです。よかったらご一読くださいませ。
 私にとって『Sportiva』はスポーツ媒体の最高峰のひとつ。本当に幸運なお申し出を頂戴したと思っています。

 今後、フィギュアスケートに関するエッセイは集英社さんを中心に進めさせていただけたらと考えています。サイゾーさんと仲たがいしたわけでは全くなく、単純に「サイゾーさんでは、サイゾーという媒体の性格にふさわしいテーマで、私なりに書けることがあるんじゃないか」と考えた結果のことです。その思いはサイゾーさんにも快く受け入れていただきました。ありがとうございます。

 ま、それも体調が戻って、バリバリ書き物ができるようになってからの話ですけれどね。さ、パソコンを閉じて、養生(別名/甘やかしタイム)に入ります…。