恋愛がらみ。肉体がらみ。

 1月26日あたりに発売される、「高山真」としては8年ぶりになるエッセイ集『恋愛がらみ。』(小学館)のあとがきがようやく終わりました。「これを書くのは卑怯かしらねえ」と、ちょっと悩んだ部分もあるので、予定よりずいぶん時間がかかってしまったわ。とは言え、冷静によくよく考えてみたら、あたくしったら今までだってオトコの子ちゃんを狩りにいくときの、「卑怯」なんて言葉じゃ生やさしいような手練手管を書いていたんだった…。そう思い直し、なんとかかんとか締め切りギリギリで間に合いました。これで心置きなく新年を迎えられそうです。

「これを書くのは卑怯かしら」と思ったのは、病気のこと。『恋愛がらみ。』というタイトルでもお分かりいただけるように、そもそもこの本の内容は恋愛にまつわるアレコレ。Oggiでの連載をベースに、自分の現在の思いをあれやこれやと練り込んだものですから、病気のことを書くのは違うかな、とも思ったわけ。

 でもねえ、「どういうことが起こっても、そこから自分なりの『味』を抽出する手腕」だけでここまでやってきて、実際それを評価していただいたからこそ、いままでものを書く仕事もできていたわけでしょ。「恋愛以外のことを書いても、恋愛に関する何らかのヒントにはなるかしら」という判断もして、書くことに踏み切ったのよね。ええ、「あとがきを埋めるほどのネタが他になかった」わけではありませんよ!

 このブログを放置するようなことになったのも、ラブピースクラブのエッセイを何度かすっ飛ばすことになったのも病気が関係しているので、ラブピースクラブの連載とこのブログで先に明かしてしまいますが、あたくしの病気は肝臓がんです。お酒なんて年に2〜3度飲む程度の人間なんだけど、同じようにお酒をたしまなかった母親も肝臓を病んで30代で亡くなっているので、もしかしたら遺伝的な要因もあるのかもね。

 とは言え、余命宣告が出ているわけではないし、人に会おうと思ったら全然会えるし、あたくしもまだまだしぶとくサバイブする気満々なので、そんなに深刻なものではないのよ。2016年はみなさんに推定4人の読者の方々に会う機会を作ろうともくろんでいますしね。

 あたくしはあたくしで、今のこの状況からも「自分なりの『味』を抽出」しようと、「楽しみ」のほうがはるかに多い毎日を過ごしています。なんて言うのかしら、「覚悟あるお気楽人生」みたいな感じね。強がりでもなんでもなく、それは健康だった若いころからまったく変わっていません。そんなベースが、今回の『恋愛がらみ。』にも込められているかしら。あたくしとしては自分なりに全力を尽くしたつもりではありますが。

 3月くらいを目標に、『恋愛がらみ。』をお読みくださった方々との久しぶりの再会「バール・ド・タカヤマ」を開きたいと切に願っています。その目標に向かって、あたくしは多少おとなしい年末年始を過ごすことにいたしましょう。皆様、書き手としての高山真は、2014年あたりからは本当に不実な人間でしたが、2016年はもう少しギアを上げて、みなさんとコンタクトが取れるようにいたします。よいお年をお迎えくださいませね。