ダダ漏れは恥ずかしいことです、少なくとも雑誌の世界では

 沢尻エリカが久しぶりに連ドラに主演するそう。そのタイトルは『ファースト・クラス』。19日からスタートするんですって。

 ファッションの世界で働きたいと願っていた主人公(エリカ)が、ひょんなことからファッション誌『ファースト・クラス』編集部に採用され、インターン編集者として働き始める…というお話らしいの。しかしその編集部は、女子同士が火花を散らす「マウンティング」の世界で…という流れみたい。

 ラブピースクラブのコラムでも書いたけれど、もうあたくしは『ファースト・クラス』という雑誌名だけで胸騒ぎを抑えることができません。雑誌の名前って、ある意味で『顔』。その雑誌の方向性が明らかになるものよね。で、その「顔」が、「こうなりたい!」「これを目指したい!」という欲望をわかりやすくダダ漏れにすることは、少なくとも日本の雑誌界、特に女性をターゲットにした雑誌界では、問答無用に「アウト」ものであるわけです。

 だって『ファースト・クラス』って、日本語に訳せば「一流」よ。一流! もし、ホントにこんな名前の女性誌があったら、間違いなくもっともダサい女性誌として一般読者からそっぽを向かれるはずだわ。いい・悪いの判断は置いておくとして、日本の女子の「欲望の表出」の仕方は、もっと込み入ってるもの。「一流」なんて言葉を雑誌の名前に使用するのはギャグにしかならないの。あのミス・ミナコ・サイトウの著書『超一流主義』が出たのはもう20年くらい前だと思うけれど、20年前ですらギャグとして受け止める人のほうが多かったのよ。

 いまの、というか、この30年くらいの間で、ここまで欲望をむき出しに表出する感じのタイトルのおしゃれ雑誌を見た経験あります? あたくしは皆無です。「自己実現の方向性をむき出しにする」雑誌のタイトルって、あたくしが知る限りこの30年間では『ビッグトゥモロウ』しかないんだけど。ええ、「むき出しの上昇志向だけは売るほど持っているうだつの上がらない若い男が、でっかい明日を夢見る」ための、あの雑誌(偏見アリアリ。でもあながち間違った見立てではないと思う)。「おしゃれ」のおの字も知らない、というか「知る必要などないと思っている」若者のための雑誌です。タイトルが醸し出す「雑誌のランク感」では、『ファースト・クラス』と『ビッグトゥモロウ』って、どっこいどっこいだわ。

 ちなみにあたくし「ダサいのは悪」だなんてまったく思っていません。そうではなくて、「おしゃれ感を狙ってるのに、すっごくダサいのは、異常なほど恥ずかしいことだ」と言っているのです。そのあたりは勘違いしないでね。「おしゃれなんてどうでもいい」と思ってる人の表出具合がダサかったとしても、まったく気にならないわ。

 そんなこんなで、あたくしはドラマの第1回放送の日を心待ちにしているわけです。まあ、沢尻エリカのパーソナリティって、言われてみれば『VOGUE』とか『SPUR』的というよりも、確かに『ビッグ・トゥモロウ』的。「日本有数のファッション雑誌」というドラマの狙いが勝つか、『ファースト・クラス』という雑誌名のダサさ&エリカの泥臭さが勝つか、すべては19日にハッキリするでしょう。うふふふふ。