リハビリカラオケ、しかも読者の前で

 体調がすぐれなかったこの1年以上、夜遊びを控えていたあたくし。「夜遊び」といっても、もともとお酒は飲まないし、ジャスミン茶で友人たちとおしゃべりしてカラオケするくらいのものだったけれど、それさえ体に響くような感じだったの。

 それがこの1ヶ月くらい、「ちょっとくらいは夜更かししても大丈夫かしら」とだんだん思えるようになってきたので、「せっかくだし」とお誘いに乗るようになったの。「友人たちも、あたくしにお酒を飲ませたくて誘っているわけではない」という安心感もあり、この2ヶ月で3回ほど、「終電までカラオケ」を楽しめるようになったわ。こうやってリハビリをしていくのもいいものね。

 で、最近、あるゲイバーのママから「姐さん、うち11周年のパーティーをやるんですよ」と電話が。「あら、おめでとう。もうそんなに経ったの? 早いわね。ちょっと顔を見せに行くわ」と返したあたくしに、そのママから、「あのね、人手がどうしても足りなくて、お店に入っていただけないかしら」と意外なお願いが。

「あら。でもあなたも知っての通り、あたくし今、お酒は飲めないのよ。パーティーだったらシャンパンもたくさん入るだろうし、お役には立てないんじゃないかしら」
「お酒はアタシが飲むから大丈夫。でも、パーティーだと、アタシひとりでたくさんのお客さんを回すことができないんですよ。おしゃべり要員として入ってくださらないかしら。カウンターの中に椅子をひとつ置いておきますから、疲れたらそれに座ってくださってもいいし。洗い物&飲み要員はひとり確保しています。トークで場を持たせる人って、ホント見つからないの。お願いします」

 二丁目でつきあいのあるママは何人もいるけれど、その中でも古いほうに入るママにここまでお願いされるとね…。二丁目に限った話ではないのでしょうが、こうしたお店の○周年パーティーは、お客さんたちがごちそうしてくれるお酒を、ママや店の子がガンガン飲んで、お客を楽しませる&売上を確保する、というのが定番の流れ。その定番を崩してまでお願いされたら、「じゃあ、やれるだけのことはやってみましょう」となってしまうわね。

 で、先週末、お店オープンの直前まで睡眠をとって体力をチャージし、お手伝いしてみたあたくし。実は水商売ってちょっとやってみたかったことのひとつだったりするので、それはそれは楽しい時間を過ごしたわ。お客様もそこそこあたくしのトークに受けてくれていたみたいだし。「今日はヘルプだとしたら、いつもはどこのお店のママなんですか」と言われるのも、お約束だけどうれしいものね。それなりにトークには及第点がついているってことだから。

「あたくしプロじゃないのよ。水商売は素人なの」
「うそ! 絶対どこかのママだと思った」
「20年言われ続けているけど、違うのよ。『インディーズ最後の大物』と別の店のママに言われたわ」

 そんな話を回しながら、リクエストされるがままに明菜や聖子を歌ってみたり。ノドの調子も全盛期に近いくらいまで戻ってきたのもホッとしたわ。で、あたくしの明菜に拍手を送るお客さんから「本業はなんですか?」と聞かれたので、「出版関係なの。原稿書きね。エッセイ書いたりすることが多いかしら」と正直に答えたら、「もしかして…、Oggiで連載している人ですか」と。

 大変…。あたくしったら、Oggi読者の前で大カラオケ大会を開いてしまいました。しかも、ふだんマナーのことを語っているのに、店じゃキツメのネタをバンバン回して、洗い物要員で入っていた若いお笑い芸人(ノンケ)をいいようにいたぶる始末。まあ、もちろんお店の中はそれで笑いが起こってはいましたが、お祝いで来ていたほかの店のママから「アタシだったら泣いてる」とまで言われてしまいました…。

 もし、あのときの読者のお客さん兼読者の方がこのブログを見ていたら、「素の高山は、確かに歌声はキレイだけど、その分、性格がドス黒かった」とか、そんな噂は流さないようにお願いいたしますね…。