my favorite

 この間、読者の方とお話しする機会を持ったとき、「なるべくブログの更新を…」とのリクエストをいただきました。そうよね、ちょっと間が空きすぎよね。身内に近い人間を看病しているというか介護に近いことをしているというか、まあそんな感じで時間をとられてはいるものの、細切れの空き時間がないわけじゃないし…。いままで、そんな時間は本を読んだりDVDを観たりしていたのだけど、それらをちょっと備忘録がわりに書き留めてみようかと…。

小説
『青い眼がほしい』トニ・モリスン/「美」に内在する差別、を苛烈に描いた作品。トニ・モリスンはかなり好きな作家
コインロッカー・ベイビーズ』/村上龍/10年以上ぶりに再読。泥まじりの水たまりが真夏のうだるような暑さに発酵して匂いを放つような文章。いいわ〜。
『禁色』三島由紀夫/ありがた迷惑なほどに濃密な描写。そこが好き。たいがいの三島作品は、女の描写に関してはあっけにとられるほどあさっての方向なのですが、そんなあさっての方向で思いがけなく大輪の花を開かせたのが、この作品内の鏑木夫人。意志の力で、手の届かない男(ゲイの主人公・悠一)への思いを母性のようなありようにまで変えてしまう強靭さ…。この作品の中で三島自身がもっとも自己を投影したのは鏑木夫人なのではと思う。「自分の思いの質を変えるほどの意志の強靭さ」という点において。

映画
『鬼畜』日本映画/松本清張シリーズ。主演は緒方拳と岩下志麻。が、最初の30分しか出てこない小川真由美が結局全部もっていった。
大誘拐』日本映画/北林谷栄が演じる刀自(とじ。おばあさんの尊称)は、ババアとしてのひとつの到達点だと思う。大好き。
死刑台のエレベーター』フランス映画/日本のリメイク版の凄まじさは、以前書いたことがあるはず。あたくしの友人は、リメイク版の、ヤクザの親分とその情婦が飲んでいるシャンパンが、激安店で1000円するかしないかの銘柄だったことに激怒。「クリュグでもクリスタルでも、空き瓶借りてこいよ! ディテールで全部ばれるんだよ!」とのこと。自分じゃ気づかないことを教えてくれる人の存在はありがたい。

マンガ
『大奥』よしながふみ/現代にも通じる、女、母、娘であることの痛みを、男女逆転の大奥を舞台に描く手法に惚れまくっているわ。
地球へ…』『風と木の詩竹宮惠子/画集にサインをいただいてしまった…。うれしい…。それぞれ、SF、BLの古典的名作と言われるけれど、再読してみると、テーマの普遍性に驚く。いずれきちんと感想を述べてみたい。
ヘルタースケルター岡崎京子/映画化は心配でしょうがないけれど、作品はゆるぎない。絶望と焦燥の泥沼に身体を絡めとられながらも、圧倒的なスピードで駆け抜ける主人公・りりこ。日本を飛び出し、自覚的に「見世物」として生きるりりこに、なぜかカタルシスを覚える。

 最近見たのはこんな感じかしら。ほんと、これじゃ備忘録がわりどころかカンタンなメモ程度の機能しかないけれど…。