ライスクリスピーと毒

 友人から、「発売中の週刊文春を今すぐ買いに行きなさい」とメールが届き、何が何やら分からないままコンビニに向かい、文春を購入。目次にいちばん大きく印刷されている、AKB板野友美とTAKAHIROの熱愛ネタは別段心をくすぐられるものではなかったのだけれど(腸どうでもいい情報として、アタシは数年前までミンクス原宿店でずっと髪を整えていて、現在は別の店にいる担当美容師によるとTAKAHIROくんにシャンプーしてもらったことがあるらしい)、その横に印刷された『一人娘が独占告白 母・小川真由美を狂わせた「3人の教祖」』という記事に目が釘付けになったわ。アタシの知る限り、小川真由美の一人娘とは、10年以上前、ほんの一時期、小川真由美と一緒にさまざまなテレビ番組に出ていたMAH(マーと発音)でしかありえない! ついに!! ついに再びその姿を!!

 アタシと、アタシの周りの5人のオカマ(含・マツコ)は、『タモリジャングルTV』で炸裂した、ビジュアル、言動、行動、すべてがパンク&スリリングなMAHのありように、一気に心を持っていかれたの。おどろおどろしい黒系のアイシャドウにロックバリバリなファッション、「直立姿勢がとれないのかも」と思わせるだるそうな雰囲気、ローラや森泉とは明らかに違う種類の投げやりかつ攻撃的なタメ口……。ちなみに『ジャングルTV』は本来、「ジャングル」という言葉の響きとは似ても似つかない、ほのぼの系番組。すでに楽隠居状態で、アバンギャルドな姿勢を一切見せなくなったタモリと、「温厚」が第一の売りになっている状態になって久しい関根勤が、その日に限ってはMAHに見る見るうちに怒りを増幅させていくのが手に取るように分かる、すさまじく緊張感の高い回だったわ。タモリ関根勤がメインになる番組で緊張感が高まるなんて、どう考えてもありえないわけだから、当時のアタシたちがどれほどブラウン管の前で固唾を呑んだか、お分かりいただきたい。

 で、そのMAHさん、本名の「小川雅代」さんとして、週刊文春小川真由美がどれほど母親失格だったかを告発されています。最近発売された雅代さんの著作『ポイズン・ママ』(文藝春秋・刊)のパブリシティ的インタビュー記事であると推察されるページね。

「演技のことしか考えられない名女優が、人間としてはロクデナシもいいとこ」というのは、有吉佐和子の『開幕ベルは華やかに』や、薬師丸ひろ子主演の映画『Wの悲劇』で三田佳子が「これでもか!」の勢いで見せつけてくれていたせいか、小川真由美の「母としての顔」にも実を言うとさほどの驚きはなかったり。もちろん、当事者であった雅代さんの心中はいかばかりかとお察し申し上げはするものの、文春のインタビュー記事の中に「雅代さんは、かつてMAHだった」という記述がひとつもなかったことは、『ジャングルTV』で手に汗握ったアタシには少々不満が残ります。

 インタビューを読む限り、『ポイズン・ママ』を書くまでには、大きなハードルを何度も乗り越えてこられただろうことは容易に想像がつきます。「MAH」としての雅代さんに狂喜していたアタシたちは置いておいて、この本は、わが子を精神的・肉体的に搾取する子どもたちに何かを与えるのでは…と未読ながら思ったり。もちろん、読後の感想がこの予測と違っていた場合は、しっかり書くつもりだけれど。

 余談ですが、『ポイズン・ママ』の担当編集者と装丁を手がけたデザイナー、そのどちらか(あるいは両者とも)は、ジョン・ウォーターズ監督、キャスリーン・ターナー主演の『シリアル・ママ』のファンであることは間違いないと思います。ロゴの雰囲気、そっくり。