ドロドロ枠を自負なさるのなら……

 この2012年にミヤコ蝶々先生の一代記がドラマに――。なんというか、時間軸がゆがんでしまいそうな感覚を覚えましたが、それが東海テレビ枠の昼ドラと聞き、ちょっと一安心。まあ、東海テレビならばそれもOK。「21世紀にミヤコ蝶々先生」という荒業(または逆張り)で視聴率を稼ごうとするのも想定内というものです。ちゃっかりしてるけど、ええ子やな(ミヤコ蝶々先生出演の霊園CMより)。

 ただ、ミヤコ蝶々先生の人生を語る際、あたくしたち性格の捻じ曲がったオカマたちにとっては、どうあがいても外しようのない「凄まじイイ話」があるのですが、それはきちんと描かれるのかしら……。

 それはまだ日本で覚せい剤が合法だったころの話。当時、覚せい剤は「ヒロポン」という名前で当たり前のように流通していたそうで、当然のごとく中毒患者も大量に生まれてしまっていた、とんでもない時代でした。ミヤコ蝶々先生もほかの多くの芸人と同様、ヒロポンにおぼれ、重度の中毒患者になり、閉鎖病棟へと入院することに。その病院の隣は刑務所。その刑務所の囚人に「あないになったら、しまいやな」と指を指されて笑われたことへの悔しさや悲しさや怒りが、立ち直るエネルギーになったそう。このエピソード、先生ったら自著にはっきりお書きになっています。これを「凄まじイイ話」と言わずして、なんというのでしょう。

 東海テレビがこれをきっちり描いたら、あたくしは東海テレビの昼ドラを、日本に現存するドラマ枠の最上級に永久指定するのもやぶさかではありません。それを見届けるため、これからしばらく、週ごとにまとめたDVDをお友達に借りる日々が続くでしょう。