年末のありよう・1

 去年、物心ついてから初めて、紅白を見ずに年を越たアタシ。「今年の紅白の出場歌手が発表される」ということが、もはやたいした風物詩にならなくなって久しいわね。普段着のようなカッコで、ちょっとうまい素人より「やや上」程度の実力の歌手が、聞いた瞬間に忘れてしまうような曲を、入れ替わり立ち替りで歌い続ける……。紅白がそんなショーになってしまったのは悲しいわ。SMAP中居くんの生歌にドキドキしたり、というアトラクションは、圧倒的に聴かせる歌手がいるからこそのスパイス。北島三郎の声量が悲しいくらいに落ちてしまったり、逆に声が大きいだけでリズム感も音程も壊滅的な和田アキ子が「真打」扱いされているようでは、中居くんの生歌がスパイスたりえないの! いま、いちばん、こちらをうならせるほどの歌唱力を持っているのは氷川きよしだと思うわ。

 というわけで、アタシはいま、歴代の紅白の名場面のほうに夢中。芸能界って、「とんでもない実力を持った人が、とんでもなくお金をかけて、でも魅せ方に関してはオシャレというよりはインパクト勝負」というくらいが、見ていてもっとも楽しい。それを若いみなさんにも知っていただきたいわ。


●絵に描いたような清純派売りで歌うアグネス・チャンの、その間奏部分で映る紅組歌手が、メイク・ドレスともに、ことごとくドラァグクイーンのようだったり。

●歌の世界観とまったくかぶらないバックダンサーを従えて、歌の世界観とまったくかぶらないお色気をこれでもかと放出する小柳ルミ子だったり。

ちなみにマドンナが『ブロンド・アンビション・ツアー』で日本公演を行ったとき、アタシは当然のように見に行ったのですが、ラストソングの『keep it together』で、隣のオカマ友達と「これはルミ子の『お久しぶりね』ね! やったわルミ子、アンタはマドンナの先を行ったのよ!」と大騒ぎしたわ。



●同じくマドンナの『vogue』に先駆けてヴォーギングを披露していた金井克子だったり。

●ヴォーギングの元祖が金井克子なら、「ジュリアナ東京の元祖はこの人」と呼びたい、ジュディ・オングだったり。豪華! 最後まで顔が映らなかった書道家が、顔が映らないにも関わらずフジフィルムCMの樹木希林を思わせるの……。

●「歌唱力」でちゃんと聴かせる枠があったり(ここでは、しばたはつみと弘田三枝子ザ・ピーナッツをチョイス。ピーナッツは、最初から最後まで、二人の歌いだしからブレスのタイミングまでピッタリ一緒で鳥肌が立ったわ)

……って、取り上げ始めたら終わらない……。明日にでも続きをアップしましょう……。