プロの接客とは…

 先週末、ゲイの友人が新宿二丁目にバーをオープンしました。長年の知己との共同経営らしいのですが、何はともあれこの不況の時代に素晴しい決断。めでたいことです。で、初日である金曜日の夜に、仲間たち4人で開店祝いがてら押しかけてみたり。小さいながらもアットホームな雰囲気の、非常にいいお店だったわ。

 お客で満員のお店では、友人と共同経営者、雇われ(未確認)ママとヘルプ、4人が忙しく立ち回っていたのだけれど、アタシは友人以外の人とは初対面。友人に紹介された共同経営者の方は、すでに二丁目でバーを一軒持っている、立派な実業家。大したものね。

 アタシの隣に座っていた、単独でいらしたお客さん(アタシより5歳ほど年下、という感じだった)に、共同経営者・Gさんは「まあーイケメン! いいオトコだわ! モテるでしょ?」と、お色気トーク全開でした。念のために言っておきますが、これは別に「Gさんがそのお客さんのことを狙っている」ということではありません。そのお客さんがイケメンであることを他のお客たちに知らしめることが、そのお客さんにとってもベストな状況である、ということを瞬時に見抜いたうえでの接客のテクニックなのです。さすがはすでに人気店を経営しているだけの実業家、そのチョイスにまったく狂いがありません。

 で、そのお客さんと一通りの会話が終わったGさん、アタシとの会話をスタートするや、すかさず一言。

「お姐さん、ちょっと肩もませて。やだ、カチカチ!」

 どうでしょう、この接客の差……。

 友人の店でアバンチュールを期待するようなオンナではない、92歳(自己認識年齢)のババアであるアタシを瞬時に見抜いたこの一言。さすがとしか言いようがありません。プロって、いったい人のどこに着目しているのかしらね……。