単位学

 さすがに当人のプライバシーの極致のようなネタなので仮名にしますが、友人Aが腎臓結石になったとか。いまのところ結石になった経験がないあたくしでも、「腎臓にある結石が尿管へと下る(尿管結石になる)と、尋常ではない痛みが下腹部から腰にかけて駆け巡る」くらいのことは聞いたことがあるので、「大丈夫?」と尋ねたら、
「なんだか、尿管に下る前に、超音波レーザーで粉砕する治療法があるみたい。ただ、尿管結石の激痛ほどではないにせよ、その治療もなかなかの痛さらしいのよ」
 との返事が。年を重ねるということは、日々の会話の中に、こうした「病気と最新医療」の内容が、さりげなく、しかし確実に増えていくことでもあるのでしょう。

 そんなメールをやり取りしている中で、2年ほど前に別の友人から仕入れたきり、すっかり忘れてしまっていたある知識を思い出しました。それは、
「尿管結石の痛みの度合いを表す単位は『鼻毛』である」
 ということ……。

 1本の鼻毛を抜いたときの痛みは「1鼻毛」に相当し、激しい尿管結石においては、その単位は「10万鼻毛」にも達するとか! 思わず震え上がってしまいますが、具体的なイメージはまったくできませんでした……。

 音は「デシベル」、気圧は「ヘクトパスカル」、電力は「ワット」、天体との距離は「光年」、そして尿管結石の痛みは「鼻毛」……。一気に学術感が薄くなった気がするのは、あたくしの偏見でしょうか……。

 しかし、思えばあたくしたちも、若かりし頃はこうした独自の単位を発明し、友人たちの間で流通させていたもの。


カンニングの回数 = なお美
★例:「後期試験、隣のヤツが少なくとも3なお美してやがったわ」
■誕生の経緯:察してください



●タチ(入れるほうを喜ぶゲイ)のモテスジ・イケメン度合い = モンプチ
★例:「アンタの新しいオトコ、どんな感じ?」「15モンプチくらいかしら」
■誕生の経緯:90年代初頭のキャットフードのCM「グルメなネコはモンプチ」「ネコまっしぐら」のコピーより。ちなみに「ネコ」は入れられるほうを喜ぶゲイ


 といった具合に……。

 そういえば、「最新モードがまったく似合っていない様」を、当時クロード・モンタナやティエリー・ミュグレーになどに手を出していた知り合いの名前で表現していたりもしました(例:「あのカッコはひどい。7キョウジくらい」)。なんてひどいあたくしたち! まあ、現在、その単位は、ある人々の間で「7マコト」に変化し、受け継がれているのかもしれませんが……。