漫画週間

 先日『百年の孤独』と『ワイルド・スワン』を読むのが楽しみ……と書いておきながら、お友達に借りた漫画『BASARA』(田村由美小学館)と『君に届け』(椎名軽穂集英社。この作者の方、椎名林檎ユーミンのファンなのかしら)それぞれ全巻を一気読みする、という素敵な寄り道をしてしまったわ。ええ、あくまでも「素敵な」寄り道ね。

 乱世において、「運命の子」(デスチャ? でもビヨンセとは無関係)として生まれたオンナの子が、幾多の戦いをくぐりぬけ、外交や為政のなんたるかを学びながら「政治」の世界のトップに立つ……という一大アドベンチャー『BASARA』は、そのストーリーテリングの巧みさに舌を巻くばかり。貸してくれたお友達によると、安室奈美恵もこの作品のファンだそうね。いいわあ奈美恵、血の気が多そうで。そうよね、オンナの子がトップに立つ話が少女漫画の世界になくって、どうするんだって話よ。

 もうひとつの作品『君に届け』は、まだ『別冊マーガレット』で連載中の作品なので、現時点までの最新刊10巻までを通読。この作品は、「暗い・怖い・不気味」というイメージを抱かれて、中学時代までまったく友人ができなかった主人公・爽子(さわこ。しかしそのイメージから「貞子」と呼ばれている)が、一念発起して高校から変わり始める……という物語なのね。これもどうやら大人気らしく、現在アニメ化されているみたい。

 初めて知る友情や恋に戸惑いながらも、一直線に頑張る爽子に、アタシはすっかりおばあちゃん目線。可愛くて仕方ない孫を見守るような感じで読み進めてしまったわ。10巻中のアタシ的ベストは2巻。爽子の周りで確かな友情が実る、一連のお話の神がかりっぷりには泣かされました。この漫画が大人気になるのは、なんか、ものすごくよく解る。だってこの年代に限らず、やっぱりみんな「ベスト」が手に入った、という実感が欲しいものね、友情でも恋でも。それがどれほど手に入れるのが難しいか、若い子もきっと肌で知っているんだわ。舞台は「地方都市の高校」というリアル世界ながら、「実現がものすごく難しい」という意味において、この作品はファンタジーの中のファンタジーだと思う。でも、夢を見たい気持ちは、わかるわあ……。