茶屋de鬼

 推定6人のアタシの読者の中に、熱心な相撲ファンなどたぶんひとりもいないでしょうし、アタシも多くを語れるほど観戦経験があるわけではないのですが(実施経験は言うに及ばず)、いま、大相撲の世界は大変なことになっております。様式化を経てほとんど形骸化と言ってもいい横綱の土俵入りなどより、はるかに「荒ぶる神」を体現する御方が八面六臂の大活躍。ますは、このスポーツ紙の見出しをご覧いただきましょう。

朝青龍「天敵」の前で連敗阻止
朝青龍、鬼?の居ぬ間にけいこ再開

「現在最強」と呼ばれる(なのよね? よく知らないけど)横綱朝青龍の「天敵」にして、初代・若乃花以来、初めて「土俵の鬼」と呼ばれている人がいる……。そんな益荒男がまだこの現代日本に! いったい、誰……?

http://www.nikkansports.com/sports/sumo/p-sp-tp3-20080116-307711.html
http://www.daily.co.jp/general/2007/12/23/0000779709.shtml

 大先生……。素晴らしい……。

『汚れた舌』以来、脚本家としてのお仕事をお休みされている大先生。「合法的に女優をイジメぬけなくなって、ストレスたまっていらっしゃるんじゃないかしら」と、アタシは胸がしんみりと握られるような不安を抱えておりましたが、いやぁアタシはちっちゃいわ。ホントちっちゃい。先生の攻撃目標は、もはや事務所にまもられた女優ではなく、横綱。なんという異種格闘技戦

 で、現在、朝青龍は1敗しているそうですが、間違いないね、あれに土をつけたのは大先生だわ。誰がなんと言おうと、アタシはその説を曲げる気はありません!

……などと先ほど友人と電話でおしゃべしていたのですが、その友人から、とんでもない話を聞いてしまいました。数日前、スカパーのTBSチャンネルで、大先生の出世作『想い出にかわるまで』全話一挙放映があったんですって……。

「そんな……。アタシなんでスカパーに加入しておかなかったのかしら……」と、自分の至らなさに身悶えしていたアタシ。聞くところによると相撲の決まり手は四十八手あるそうですが、数も威力もゆうにその2000倍の引き出しを持つと噂される(出どころ・アタシ)大先生の炎の女優イジメ(別名・脚本)に、主演の今井美樹が本気で心身のバランスを崩してしまった不朽の名作『想い出にかわるまで』。そんな空恐ろしいものが、半日以上ノンストップで流されていたなんて……。それはもはや、「サービス」というよりは「拷問」。まったく放映されたのがスカパー程度でよかったわ。地上波でそんなアバンギャルドな事件が起こっていたら、ポケモンで引きつけ起こす子どもの比ではないほどの騒ぎが起こったはずですものね。

 アタシは以前、マツコ デラックスと「もう、ドラマのスタッフロールには『作/内館牧子』ではなく『作・主演・横綱審議委員内館牧子』と入れてほしい」と話し合ったことがあります。もちろん半分冗談のつもりだったのですが、いまや角界の主役といえば大先生。横綱審議委員の大先生です。林真理子大先生とは違う「オンナの上がり方」、これからも正座して拝見させていただきます。ええ、頑張って砂かぶりを取りますわ。お茶屋につてなどありませんけれど……。