欲しいものはパリ。あるいは、ハート

 以前、10名の読者の方をご招待して、小さなおしゃべりの会を開いたとき、ある方が、花束をプレゼントしてくださった。濃い紫や赤を中心にまとめられた、可愛いというよりどこか毒っぽい、いかにもアタシ好みな花々が嬉しくて、ドライフラワーにしてしばらく楽しんでいたことを思い出す。家事全般の中で掃除が最も苦手なアタシの、仕事場兼用ゆえに戦場のようなありさまの部屋に、それはとっても似つかわしくなく、せっかくのお花を下さった方に申し訳ないような気もしていた。「さっさと掃除しろよ」って話よね。

 その方のご厚意は本当にありがたくて、いまでも「もらって嬉しかったプレゼント」の上位をキープしているのだけれど、そのことは脇にやって、今週末と12月1日のトークショーにいらっしゃる方にお願いいたします。もし、「高山に何か贈ろうかな」と考えておいでの方がいらっしゃったら、その分のお金は、美味しいケーキを楽しんだり、素晴らしい本を買ったり、素敵な映画を見たり……そういうことに使っていただきたいと切に願っています。いらしてくださること、一緒にお話をすることで、アタシは勝手にハートをいただきます。そのほかには、何もいらないわ。

 って、冷静に考えたら、「勝手にハートをいただきます」ってのも恐ろしい表現ね。自信過剰も極まれりだわ。キャッツアイかっていうの。ほほほ。

 ちなみに、トークショーの後で、「私はハートなんて盗まれなかったわよ。まったく口だけ達者なオカマだよ」と思った方がいらしても、そういうご意見はまたしても華麗にスルーさせていただくつもり。ほら、「勝手に盗んだつもりになっている」というだけで、アタシはいい気分になれるオンナなのでね。「勝手にパリを我が手中に収めたつもりになっている」という妄想で20代を楽しく過ごしたオンナなので。

 さて。話すことはまったく考えていません。みなさんの反応や、みなさんが寄せてくださったご意見やご質問が、会をどんなふうに展開させていくか。アタシもとても楽しみにしています。