遅ればせながら…
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
冬の寒さもいよいよ本格化してきましたが、推定6人の読者の皆様、ご体調はいかがでしょうか。
昨年の私は、2018年4月におこなった肝臓がんの切除手術が功を奏し、手術前には想像もしていなかったほどいい体調で1年を過ごすことができた、本当にいい年でした。
とは言え、仕事以外では体調第一を念頭に日々を過ごしています。週に3度ほどはウォーキングをしていますし、月に1~2度くらいは友人と会ったりもしていますが、基本的には「過信せず、体を休める。自分なりにいたわる」ことを最重要に考えさせていただいています。
…と、何やらこのブログを事実上ほったらかしにしていたことの言い訳をしているようですね。もし、時々でもこのブログにいらしてくださっていた方がいましたら、非礼をお詫びいたします。申し訳ありませんでした。
2020年も、私なりに日々気をつけながら、仕事において
「自分なりの『ものの見方』と『言葉の探し方』と『体力』で、何ができるか」
を模索していけたらと思っています。
同時に、読者の皆さまが、とにかく大過なく日々を過ごされますよう、心から祈っております。
ずっとブログを放置していた人間が申すことではないかもしれませんが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
梅雨明けは「美を作る人」へのリスペクトともに
集英社新書さんのサイトで、2019年フィギュアスケート世界選手権を振り返るエッセイをアップしていただきました。
お時間のある時にご一読をいただけたら幸甚に存じます。
https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/column/skate2/5473
https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/column/skate2/5471
フィギュアスケートのことを書くようになったのは2016年からで、私の中ではもっともキャリアが短い仕事になります。それでもお読みくださる方々がいる幸せをしみじみとかみしめています。本当にありがとうございます。
現在でも私は仕事としてオファーをいただければ、フィギュアスケートに限らずさまざまな事柄をテーマにものを書いています。
恋愛や人間関係のことを書くときは、何よりも「あなた(読者の方、おひとりおひとり)は、突き詰めて考えたら、どういう自分になりたいの?」という「問いかけ」の蛇口がいちばん大きく開きます。
ショービズのことを書く際は、「好きだからこそ『フツーの物の見方』ではなく、自分なりに一段二段深めたところで見たい」という気持ちが大きくなる。そんな蛇口と一緒に、「愛しているからこそ、時に意地悪になるセンサー」という蛇口も大きく開くわけです。
フィギュアスケートのことを書くときは、「自分なりの美の味わい方」の蛇口だけをフルオープンにしている、という感じでしょうか。それができているかどうかは、読者の方々のご判断にゆだねるべきで、自分では判断してはいけませんけれど…。
スケーターたちがたゆまぬ努力で見せてくれる、それぞれの作品。そこには、スケーターとコーチ陣の
「これこそが、この選手が現時点で見せられる、もっとも難しくてもっとも美しい作品である」
という思いが詰まっている。それを自分なりに全霊でキャッチしたいなあと思って書いています。そして、私の書いたものが、読者の方々の美意識となんらかの化学反応を起こして、読者の方々がもともとお持ちの美意識にちょっとしたスパイスが加われば…。先ほども申した通り、それができているかどうかは自分で判断すべきではありませんが、その努力、心がけだけは忘れてはいけないと思っています。
私にとって、「美を作る人」は問答無用に尊敬の対象です。スケーターもそうですが、文章関係でそれができる人は、もう崇拝の対象かもしれません。そんなおひとり、脚本家の山本むつみさんとは、畏れ多くもお友達付き合いをさせていただいていますが、あさって27日からNHKの地上波で、山本さんが手がけられた『小吉の女房』がオンエアされるそう。『小吉の女房』のHPはこちら。
29日からは、同じく地上波で山本さんの朝ドラ『ゲゲゲの女房』の再放送も再開。もしかしたら以前に書いたことがあるかもしれませんが、2010年ごろ、私は仕事がらみで向井理さんに大きな御恩をいただいたことがあります。その仕事は私の力不足で結局は実現しませんでした(なので詳述できません。ごめんなさい)けれど、
そのときからずっと、義の人・向井さんに、遠くから大きな感謝と尊敬を寄せています。
別にお友達やお世話になった方だから言うわけではありませんが、ドラマそのものも大変なクオリティ。録画してでも見返す価値のあるものを作れる人って、本当に素敵…。
「録画してでも見返す価値がある」というのは、スケーターの演技も同じかもしれません。ファンタジー・オン・アイスのことも近々書きたいなあと思っています。
残念ながらチケットは取れませんでしたが、フィギュアスケートに関しては、チケットが取れなくてもあまり落ち込むことはないかもしれません。それは
「それだけ人気のスポーツになった。昔を考えたら信じられないほどに」
「私ではない誰かが、フィギュアスケートの素晴らしさを生で体感することができた」
ということ。それはそれで、とっても素敵なことですから。
これからもフィギュアスケートのことを書いていくチャンスが与えられますように。そのために、私は体調を整えてまいりたいと思います。(非常に幸運なことに、各種数値は本当に快調に推移しています! もう踊り出したいくらい。ヘタですが・笑)
これからはますます蒸し暑くなってくるかと思います。推定7人の読者の皆様(不遜にも増やしました。うふふ)も、くれぐれもご自愛くださいませ。素敵な夏になりますように!
原稿を書いています/東京ウォーカーでお仕事スタート
がんの手術で肝臓を3割ほど切除し、そこから1年とちょっと経ちました。がんの治療自体は手術前に「こうなったらいいな」と希望していたレベルよりも、はるかにいい方向で推移してくれています。ただ、肝臓が3割減になった分、他に負担がかかったのでしょうか、肝臓以外の消化器系統にちょっと問題が発生。4月はかなりそのことに時間を費やすことになりました。
まあ、それほど深刻な段階ではないそうですし、何よりがんの転移ではないそうなので、そこは本当にひと安心。日常の生活をもう一度見直しつつ、焦らずポジティブに養生を続けていきたいと思っています。「遺言状を書くか否か」で悩んでいた頃を思えば、何がどうなろうとポジティブにしか転びようがないのですから。精神的にとても落ち着いて体と向き合うことができている。これは私にとって本当に大事なことだと思っています。
集英社新書のサイトで連載させていただいている、フィギュアスケートのエッセイ、世界選手権を振り返る回を、近々読者の方にお読みいただけるよう、私なりに進めています。
スケーターたちの意志、重ねてきた鍛錬を何よりもリスペクトしている私の「見方」が、ちゃんと伝わるものを書きたい。それを一人でも多くの方々と分かち合いたい。そのことを気持ちの中心に置きながら、パソコンと向き合っています。もう少しお待ちいただければと思います。よろしくお願いいたします。
もうひとつ、5月20日発売の東京ウォーカー6月号から、新連載を始めさせていただくことになりました。
「80~90年代、当時をリアルタイムで知っている人なら誰もが触れてきた、超メジャーなカルチャーを、高山なりの『新しい視点』で味わい直す」
という企画です。「笑い」の要素を思いっきり増やしていると自分では思っています。
どんなものを書くにせよ、私が意識しているのは「私だけの視点」です。
「私の視点が唯一無二の正解だ」と言うつもりはまったくありません。むしろ正反対の立場です。世の中にはさまざまな視点、さまざまな正解があり、みなさんひとりひとりにも、それぞれの視点、それぞれの正解があります。
みなさんの視点や正解を「A」、私の視点や正解を「B」だとすると、わたしがやりたいのは、「A」を「B」にすることではありません。
みなさんひとりひとりの視点、正解に、私の視点や正解が触れ合ったとき、そこに化学反応が生まれて、みなさんの中に、さらにオリジナルな視点や正解が増えるかもしれない。オリジナルな視点や正解が増えることは、みなさんが見たり聞いたりするものすべての味わいを、さらに豊かにしてくれるかもしれない…。
「A」が「B」と触れ合ったとき、「A+」が生まれ、みなさんがもともと持っている「A」に「A+」が増えること。私がものを書くうえで理想としているのは、この部分です。
それが少しでもできていると嬉しいのですが…。よかったらご一読ください。
さ、ではまた執筆に向き合います!
春の宵はポジティブに…
フィギュアスケートの世界選手権は友人知人のチケット運にあやかって現地で観戦することができましたが、「現地で観戦→その日の感動をその日のうちに原稿にする→翌日も第一滑走者から観戦」を4日間続けたら、さすがに少々疲れがたまってしまったので、のんびりと日々を過ごしています。
「なかなか思うように動かない体を呪う」のではなく、「ここ2~3年を思えば、こんなに動けるようになってくれた体を祝う」形で行けたらな、と……。よくなりつつあるのは確かなのですから。夜桜の下をゆっくりとウォーキングするのがここ数日の日課になっているのですが、それも立派な「お祝い」ですね。
週刊文春さんが、4月4日号の「ベストセラー解剖」というコーナーにて『羽生結弦は助走をしない』をメインに取り上げてくださっています。『羽生結弦は捧げていく』もあわせてのご紹介、本当にありがたいと思っています。よかったらご一読ください。
さて、もう少し休んだら、今回の世界選手権をしっかりエッセイにしましょう。頭の中でもう構成はできあがっているので、あとはそれを文章にする体力の回復を待つだけです。すべてが前向きになりうる。そんな希望と過ごす春の宵……。
憧れの雑誌、憧れの先生…
家にいることがメインの私にとって、『羽生結弦は捧げていく』のアマゾンのレビュー、何よりうれしいクスリとして拝読させていただいています。本来ならば12人の方々に直接逢ってお礼を申し上げたいのですが、ここからでご容赦ください。本当にありがとうございます。涙が出るほどうれしいです。
さて、3月6日発売の文芸誌『すばる』でエッセイを寄稿しています。
仕事をお引き受けした以上は、どんな仕事でも同じように全力で取り組んでいるつもりですが、子ども時代から小説を読むのも大好きで、いま物書きの端くれの身である私にとって、文芸誌は憧れの媒体。
「どの仕事にも全力を」と言いつつも、より緊張はしてしまったかもしれません。
「すばる」編集部の方が、ありがたいことに『羽生結弦は捧げていく』を評価してくださって、お声をいただいたこともあり、「フィギュアスケートにからめて」のエッセイとなりました。私の子ども時代を振り返りながら、お若い方々に何かが伝われば…という思いで書きました。よかったらご一読ください。
目次にも大きく載せていただいて、本当に感激しています。
そしてもうひとつ。もう20年以上の友人である、ドラァグクイーンのエスムラルダさんが、とんでもない大物のプロデュースで歌手デビューをしました。
エスムラルダさんより少しお若い2人との、3人組ユニット、名前は「八方不美人」です。
エスムラルダさん以外のメンバーは、
「ドリアン・ロロブリジーダ」さん(ジーナ・ロロブリジーダがお好きなのでしょう。けれんみたっぷりなメイクや立ち居振る舞い、衣装が映えるビジュアルと、素晴らしい声量をお持ちです)、
「ちあきホイみ」さん(なんと、ちあきなおみとホイットニー・ヒューストンから名前を拝借しているそう。ゲイたちにとって掛け値なしのディーバ(女神)ふたり。その名前は、暗黙の了解のうちに永久欠番的なものとなっているので、「近年まれに見るほど大きく出た女装」と言われているとか。ただ、後で紹介しますが実際歌は超上手い)
のおふたり。
エスムラルダさんいわく、「八方不美人って、言い方変えれば『全方位ブス』ってことよね」と。素晴らしいエスプリ…!(笑)
このブログの2月11日のエントリーで、久しぶりに街に出て、ジャスミン茶を飲みながらおしゃべり&カラオケをしたことを書きましたが、それに誘ってくれたのがエスムラルダさん。そして、その席でご一緒させていただいたのは、作詞家の及川眠子先生でした。
『残酷な天使のテーゼ』『魂のルフラン』などの『エヴァンゲリオン』のテーマソング、Winkの『淋しい熱帯魚』をはじめとする一連のヒット曲、故やしきたかじん氏へ提供した数々の名曲など、まさに綺羅星のごとく。本当に夢のような時間でした。
「八方不美人」のデビュー曲は、作詞が及川眠子先生、作曲が中崎英也先生という超大物の組み合わせ(それぞれのソロ曲も同じコンビの作)。『愛なんてジャンク!』、ものすごくキャッチーで素敵な曲です。哀しいラブソングなのに、聴いてると妙に元気が出る。ぜひご一聴を!
そして以下は、3人のソロ曲。こちらも素晴らしいの…。「友人だから」というバイアスはかかっているかもしれないけれど、この間は『有吉ジャポン』にも出演したことだし、エスムさん、頑張ってほしいわ…!
3月1日発売の『BRUTUS』で「ユーリ!!! on ICE」について語っています…
3月1日発売の『BRUTUS』(ブルータス)は、「WE ♡ 平成アニメ」というテーマですが、その中の「ユーリ!!! on ICE」を特集したページの中で、インタビューに答えさせていただいています。
フィギュアスケートファンとしても、アニメ好きとしても、マンガ読みとしても、「ユーリ!!! on ICE」のファンとしても、もっと適任な人は他にもたくさんいらっしゃると思います。「どうして〇〇さんに話を聞かないの?」とお感じになる読者の方々もたくさんいらっしゃるでしょうが、自分なりに精いっぱいお話ししたつもりです。
とは言え、アニメ好きやマンガ読みの方々にとって、私の言葉だけではどうにも弱いことは重々承知しています。ですので、以前ある友人が語った言葉を、このインタビューではそのまま使ってしまいました。
「ブルータスのインタビューで言葉を使わせてもらいたいんだけど、いい?」
と事前に相談したら、その友人も「全然いいよー」と言ってくれましたので、大いにその言葉に甘える結果となりました。その友人が誰なのかは、お読みいただいてご確認いただければ…。
(業務連絡)
◇◇くん、ありがとう。今度ケーキご馳走させてください…。
『羽生結弦は捧げていく』発売されました
2月15日に集英社新書から『羽生結弦は捧げていく』が発売されました。
今までものを書く仕事をしてきましたが、自分なりに「自分がものを書く意味」ということに向き合って仕事を続けてきたつもりです。
自分が得てきた様々な文化的な情報……、書物や映画や音楽、バレエやオペラや演劇などと、自分自身の感受性を、どのようにリンクさせていくか。
恋愛のことを語るにせよ、生活全般のことを語るにせよ、それをずっと意識してきたつもりです。
フィギュアスケートのことを語らせていただくうえでも、そのベースは変えないように意識してきました。
「●●について、私が語る資格はあるかしら」という自問自答は、いつもあります。それでも、
「これだけたくさん書き手がいる中で、出版社側が私を指名してくださっているのなら、私自身からは見えない『高山の持ち味』というものがあるのかもしれない」
と信じて、自分なりに全力で向き合ってきました。
自分に資格があるかどうか、答えが出ないまま続けている仕事ですので、
「せめて、自分の持っているものを全部込めるつもりで書いて、同時に『テーマ』に対して、そして読んでくださる方々に対して謙虚であろう」
という気持ちだけは切らさないよう、執筆を続けました。
今回のテーマである「羽生結弦選手をはじめ、すべてのスケーター。そして、フィギュアスケートというスポーツ」に対して、そして、読者の皆様に対して、少なくとも「失礼」があってはならない。そこだけは死守したつもりです。
エゴサーチというものをほぼやったことがないのですが、アマゾンのレビューはありがたく拝読しています。すでに3つもご意見を賜り、私のほうが涙が出るくらい嬉しいです。このブログをお読みくださっているかどうかは分かりませんが、厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。
お読みくださったあとに、「これを読むのに費やした時間は、無駄ではなかったかな」と思っていただくものが書けるよう、今後も自分なりに最大限の努力を続けていきます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。