la femme terrible

 あたくしは、映画『疑惑』の桃井かおり山田五十鈴の台詞、および『Wの悲劇』の三田佳子の台詞を、一字一句間違えずにそらんじることができる……と書いたことがありますが、この間、読者の皆さんの前で、『疑惑』の映像に合わせてそれを証明してみました。ええ、マツコの言葉を借りれば、「可哀想なくらいに完璧」というところでしょうか。

 日本の「悪女もの映画」の最高峰を30年ゆずっていない(そして、現在の10代後半〜30代の女優たちのメンツと実力を見るに、これからもその地位はゆずらないだろう)『疑惑』。ただ、考えてみれば、「悪女」を堂々と演じることができる女優がどんどん少なくなってきているのは、世界的に共通する傾向なのかしら。世界の「悪女もの映画」の最高峰は、あたくしはずっとジャンヌ・モローの『マドモワゼル』なのよね。

 10年近く前、WOWOWで、英語吹き替え版が放映されたきり、ずっとDVD化もされなかった作品だから、この作品の凄みを共有できる人がなかなかいなかったのだけれど、この間、DVDショップでフランス語バージョンのほうが販売されているのを見つけたの! いつの間に! もちろん即買いしたわ! 初めて見たフランス語バージョンは、言うまでもなく素晴らしかった……。

 それにしても「“悪”をリアルに演じてしまうと、その人の性格まで疑われてしまいかねないが故に、悪女ものに手を出す女優が少なくなってしまう」という傾向、ホントどうにかならないかしら……。