ビバ新宿

 いつの間にか伊勢丹メンズ館の3階にドルガバが戻ってきていたのね。それはアタシにとって非常にうれしい出来事なのだけれど、肝心のドルガバ自体のパワーがなんとなく落ちているように感じられるここ数シーズン。というか、この傾向はドルガバに限らずほとんどのハイブランドにいえることかも。全世界的に長引く不況も原因なのかしら、「手堅く売れそう」なアイテムに占領されている感じ。「手堅く売れそうな洋服」とは、「○○(ドルガバでもバルマンでも可)でなくても売ってそうな洋服」「可もなく不可もないフツーの服」とほぼ同義だったりするもの。「これと同じようなデザインが、△△(ランバンでもサンローランでも可)の5分の1の値段で買えるデイリーブランドにもありそうね……」と、お友達と話すだけで、新年初のお買い物が終わってしまったわ。まあ、あたくし個人のファッション熱が下がり気味なのかもしれないけれど。

 そのお友達(ゲイ)、Aと、伊勢丹にほど近いお店でランチをしながら、積もる話に花を咲かせてみたり。Aは仙台住まいで、半年に1度ほど東京に来る身。年末年始にあったことをおしゃべりするのもひと段落すると、今度は両サイドのお客の会話が気になるのは仕方がないところ。右サイドの客は30代前半の男2人組。が、よくよく聞いてみると、会話の8割が松田聖子のカウントダウンコンサートの感想。ええ、そうね、『赤いスイートピー』は、もう原曲と同じキーの高さでは歌えなくなっているのよね…。

 で、左サイドのお客は、ユーリズミックスのような金髪のド短髪、しかし体型はあき竹城、という素晴らしいマダム。そのマダムが、連れの、銀髪のド短髪(佐伯チズ風味)&体型は橋田壽賀子のマダムに声を潜めてホスト通いをカミングアウトしています。素晴らしい……。

「手堅いどころかアバンギャルド極まりない会話」「ここでなければ聞けない会話」という意味において、いまや新宿においていちばんのおされスポットは、伊勢丹のメンズ館ではなくなりました……!