蒼い時(not山口百恵)

 お仕事の打ち合わせ後、高田馬場の某ファミレスで読書中。あたくしの横の席には、貧相とバカを煮詰めたような長髪プリン頭のバンドマン4人組が、バンド名を決める会議中です。ええ、あたくしはこういう話はたいそうな好物。「メジャー感ないとダメっしょ」の一言にアイスティーを噴き出しそうになるのを必死にこらえ、素知らぬ風を装ってトニ・モリスンを開きます。

 しばらくの話し合いののち、やつらが「これなら売れそう」と出た候補が『WANTED』と『Hell Mania』! やはりあたくしの目に狂いはありませんでした。おかわりのどくだみ茶をドリンクバーからとってきて、あたくしも長期滞在決定です。

 で、さらに30分後、「おれらのルーツも入れようぜ」という言葉を皮切りに、「青いってなんだっけ…」と、何やら携帯で調べ物をしています。で、出てきたのが、

「ブルー・フォレスト! どうかな?」
「いいねえ! メジャー感あるし」

 素晴らしい……。「地獄マニア」の後に、この牧歌的極まりない名前……。そんな両極の単語が「メジャー感」という魔法の言葉で同じ箱に入れられてしまう理不尽……。あたくしの友人にも青森出身の人間は何人かいますが、こいつらにはまったく似ていませんわ!

 高田馬場、なかなか乙な街ですわね……。