ルーキー潰し

 山口百恵(現・三浦百恵さん)と三浦友和の長男・祐太朗が、『Peaky SALT』というバンドのボーカルリストとしてデビューしたニュースを知るより先に、アタシはこの「うるおい美率」のCMを見て、「このオトコの子、可愛い…」とチェックを入れておりました。

(うるおい美率CM)
http://www.youtube.com/watch?v=KghaEzjuUSA

 多くの方がご存知でしょうが、このCMでアップになるオトコの子が、祐太朗くん(バンド内では「ユウ」という呼び名らしい)。このCMを初めて見たとき、アタシは「年上のキレイなオンナに憧れる、素朴で青臭くて、でも繊細でキュートなオトコの子……という設定にベストマッチのルックスだわ」と思っただけで、彼が百恵さんの息子さんだと知ったのはそれから数日後のことでした。

 まあ、二世タレントがスタートの地点で多くのチャンスを与えられるのは芸能界の常だし、親が残した功績、巻き起こした旋風が大きければ大きいほど、子どもはデビュー後に地獄の苦しみを味わうのも常。

「後はユウくん(およびバンドのメンバー)の実力と運がどのように彼らの背中を押してくれるか、という問題だけが残るわね。頑張ってほしいわ」

 と、アタシはとってもほのぼのとした感想を抱いておりました。ええ、好みのオトコの子に点数が甘くなるのはオカマ界の常。デビューした瞬間から洗練されすぎの、ユニセックス顔のオトコの子ばかりが幅を利かす芸能界では面白くないものね。あ、でも溝端淳平くんだけは別格。あの子のルックスは奇跡のレベルです! アタシは、いまだに映画『ダイブ!』で溝端くんが主役扱いでなかったことに納得がいってないわ。あの子を主役に据えたら、『ウォーターボーイズ』に迫るほどの優良コンテンツになったと思うもの。

 そんなことを思っていたのが昨年末から今年の頭にかけて。で、最近、Peaky SALTが2つめのCMに出てました。それがコレ。


(こんがりポテトCM)
http://www.youtube.com/watch?v=oOIG2oNuFdA

 アタシは生まれて初めて、故・いかりや長介先生に敬意を表して「ダメだこりゃ」とつぶやきました。精一杯好意的に見れば、女子大生がキャーキャー言ってるのは「バンドの4人のオトコの子」なのか「ポテト」なのか分からないという留保があるのは見て取れるけどさあ。「山のようなオンナの子にキャーキャーと追いかけられるオトコの子の役」なんて、CDデビュー3年以内のジャニーズタレントだって引き受けないわよ、リスク高すぎて。熱烈なファン以外の人間は失笑するか鼻白むに決まってるもの。人気絶頂のジャニタレであっても、大部分の人たちが失笑するか鼻白むことになるわけよ。

 ユウくんは「女子大生にキャーキャー追いかけられる」ルックスでは決してないし、ましてやほかの3人はルックスで売ってるわけじゃない。特に、ケイ・グラントみたいな子(ドラム担当みたいね)まで一緒になって追いかけられているのは、残酷といってもいい演出よ。

 このCMの演出を牽引したのは、間違いなく45歳以上のオヤジだとアタシは思うわ。「百恵と友和の息子」という部分に過剰なまでに思い入れを抱く世代でなければ、本人たちの資質に対してあそこまで鈍感ではいられないでしょう。

 ルックス勝負の世界で頂点を極めている芸能人ですら手を出さない役をあてられて、Peaky SALT大逆風。新人の芸能人が現場で「それはやれません」などと言えるはずもないCM業界、Peaky SALTに罪はないはず。血中オヤジ濃度が高い人たちが、神輿担ぐつもりで思いっきりその神輿を倒してしまっただけなんだけどさ。

 バンドってどこでどう芽が出るかわからないから、まだ終わったわけじゃないけど、今後は音楽活動だけに専念したほうがいいと思うわ……。