あゆ(not浜崎)イタリア進出

 神楽坂の「DIRITTO(ディリット)」というイタリアンは、今年出した新刊『恋愛がらみ。 不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』(小学館)の出版パーティーではじめて訪れたお店です。トリュフの使い方の見事さに心ゆくまで悶絶した記憶はいまでも鮮やか。前菜のサラミに練りこんだ、あの素晴らしい香り。そしてお店のスペシャリテのスフレオムレツとトリュフを組み合わせた演出。サービスは、おしつけがましさなど微塵もないのに、かゆいところにさりげなく手が届くような、とても温かでやさしく、かつ洗練されたもの…。「これはいつかダンナ(仮名称)を連れてきたいわ」と思いつつ、日々のあれこれに忙殺されて、バタバタと時は流れていくばかりでした。

 そして話は先週の土曜。イデミ・スギノの月に1度の焼き菓子の頒布会で、そら豆がたっぷり入ったバニラのパウンドケーキを受けとり、「山分けしましょう」とダンナの家へ。食事の約束もしていたので、そのまま家を出て、散歩がてら街をぶらぶら。で、着いたのは、ディリットでした。

「あ、ここ、『いつか一緒に行きましょう』と言おうと思っていたところだわ」と言うと「そうなんだ。やっぱり目をつけてたか。ここ美味いよね」と。「来たことあったの?」と尋ねると、「まだ3〜4回くらいだけどね」との返事。

 忘れてたわ。このダンナ、お洋服にはまったく頓着しないけれど、すきやばし次郎をはじめ美味しいお店は店主と友人になるくらい通う人だった…。

 4か月ぶりに訪れたディリットは、やはり素晴らしいきらめきがありました。すべてのお皿が印象深かったけれど、あえて3つだけ。思わずお酒を飲みたくなる衝動を必死に抑えた、鮎のコンフィの、身の甘さ、わたのほろ苦さ、全体を覆う香り高さ。タルタルやオムレツに散らしたトリュフは、この時期特有のサマートリュフではなく、季節が反対のオーストラリアから空輸したもの、という念の入れよう。そして、和牛のステーキは、見事なレアなのになぜか1滴の血も流れず、すべてが肉汁になっているという信じられない焼き加減で、周りの炭の香りと高貴なほどのコントラストを成していました。そうそう、フォカッチャの美味しさにも目を見張ったわ。ふたりとも、前菜が来る前にほぼ食べきってしまって、前菜の一皿目の途中でおかわりをしたほど…。

 ここからしばらく、また通院や治療で、野放図な食欲に身を任せるわけにはいかない日々が続きそう。本当に素敵な「区切り」をつけることができました。こういうものを「美味しい」と思えているうち、そして、そんな美味しいものを人並み以上にしっかりいただけているうちは、あたくしはまったく大丈夫。そう確信もできましたしね。

 ちなみにイデミ・スギノのそら豆のバニラパウンドは、日を改めていただきました。丈夫なときには「食後のデザートのデザート」として美味しくいただいたものですが、さすがにね。うふふ。

マイナビウーマンの期間限定連載「マコトねえさんの恋愛相談バー」、今回が最終回です。本当に楽しく、実りあるお仕事でした。
http://woman.mynavi.jp/article/160630-6/

●毎月28日に発売されるファッション誌『Oggi』での連載『マナー美人の心意気』、今回はお仕事にまつわるご相談に、あたくしなりにお答えしています。よかったらご一読ください。

サイゾープレミアムで連載している『オトコとオンナとアイドルと』。今回は、以前ラブピースクラブの連載でも取り上げた「ノンケの姫」問題をもうちょっと突っ込んで書いてみました。確か7月1日にアップされるはず。
http://www.premiumcyzo.com/

●ラブピースクラブでの連載は、非常に感銘を受けたエッセイコミックというか、ドキュメントコミック『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』についてのエッセイです。
http://www.lovepiececlub.com/

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